「カイゼン・ジャーニー」「チーム・ジャーニー」に続く、ジャーニーシリーズ待望の新刊
Digital Transformation JOURNEY
デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー
組織のデジタル化から、分断を乗り越えて組織変革にたどりつくまで
好評発売中
はじめよう。DXという名の組織変革を推し進める4つの段階。
DXへ挑む、マネジメント・現場・すべての人へ
中小企業から大企業・そして政府組織まで、日本中のあらゆるレイヤーにおいてDX(デジタルトランスフォーメーション)が急務であると叫ばれて久しくなりました。しかしながら、2020年、経済産業省のDXレポート2(PDF)が報告する通り、多くの組織におけるDXは困難な状況にあります。
本書は、DXに挑むあらゆる組織・あらゆる立場にいる方々に、DXを成し遂げ、変化に対応しつづける強靭でしなやかな組織をつくるための道筋を示すべく書かれました。大企業を含む数多くの組織のDXの最前線に立ち続けた著者の実践と経験がこの一冊に込められています。
本書のポイント
- 現場実践の方法から、戦略観点での指針までカバー
- チームで実践できる、DXに臨むための豊富なプラクティス
- DXに必要なプロダクト開発のあり方を指南(アジャイル開発)
- 筆者の実践と経験から生まれた、DXのための段階設計
推薦のことば
近年、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の取り組みは確かに進んできていますが、まだ発展途上の段階と言えます。特に金融機関におけるDXは、他業界に比べて課題も多く、弊社でも部門横断組織を作り、この1、2年、リソースを集中投下して取り組んでいます。
弊社だけでなく、こうした状況下にある多くの企業にとって、本書は「実践レベルでの指南書が現れた」という実感を持てる内容になっています。DXとは、業務のデジタル化から、CX・EXにとっての価値創出まで、まさしく組織を作り替えるに等しい活動と言えます。現業に取り組みながら、新たな組織の姿を模索していくわけですから、どうしても、「どこから取り組みはじめたらよいか?」「どのように進めていけばよいか?」という難題にぶつかることも多い。そうした暗中模索の中で、本書が示すジャーニーは1つの手がかりとなるでしょう。
本書を執筆された市谷さんは、弊社のDXにご協力いただき、ともに取り組みを進めています。本書で紹介されていることのいくつかには、私たちとの取り組みから得られた知見が活かされています。特に、他の事業部門との協働にあたっては、アジャイルや仮説検証といった新たな取り組みが必要であり、現場と実践で培われた知見が本書から得られるのではないでしょうか。
随所で語られているとおり、DXには何か唯一絶対の必勝法があるわけではありませんし、企業が自分たち自身でその道筋を捉え、試行錯誤を繰り返していく必要があります。この本を傍らに置いた企業や個人の皆様が、現場と経営の一体・一致感を醸成しながらトランスフォーメーションを果たしていかれることを、心から願っています。
野村ホールディングス株式会社
執行役員 未来共創カンパニー長
池田 肇 さま
もくじ
第1部 デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーを始める前に
- 第1章 DX1周目の終わりに
- 第2章 デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーを描く
第2部 業務のデジタル化
- 第3章 コミュニケーションのトランスフォーメーション
- 第4章 デジタル化の定着と展開
第3部 スキルのトランスフォーメーション
- 第5章 探索のケイパビリティの獲得
第4部 ビジネスのトランスフォーメーション
- 第6章 仮説検証とアジャイル開発
- 第7章 垂直上の分断を越境する
第5部 組織のトランスフォーメーション
- 第8章 水平上の分断を越境する
- 第9章 組織のジャーニーを続ける
DXを進めるための4つの段階
本書では、組織が本質的な変革を遂げるために必要な4つの段階(ジャーニー)を紐解き、あなたの組織がDXを成し遂げるための具体的な指針を描き出します。ここでは、その4つのジャーニーのアウトラインをご案内します。
1. 業務のデジタル化
DXを一朝一夕に成し遂げることはできません。どんなに長大で重厚な計画を立てても、最初からすべてを変えようとすれば人は離れ、計画は屏風のトラのようなものになってしまいます。
まずはこれから起こるデジタル化についていける人材とチームを作り、彼らの仕事を適切に支援できる体制を作ることが大切です。
1-1. コミュニケーションのトランスフォーメーション
このフェイズでは、チームと組織がさまざまなコミュニケーションの手段を知り、その特性にあった手段を選択できる状況をつくります。
ダウンロード型(非同期型)とストリーミング型(同期型)の2種類のコミュニケーションスタイルを、様々なツールの選択肢の中から選べるようになることが目標です。
1-2. デジタル化の定着と展開
このフェイズでは、新しいコミュニケーションやタスク管理・PDCAの回し方といった基本的な協働の導入と定着・展開をはかります。
いわゆる導入の谷、定着・展開の谷を乗り越え、組織・チームが協働するためのすべを身につけることで日頃の業務に新方式を定着させていきます。
2. スキルのトランスフォーメーション
いよいよDXを実際にビジネス活動に展開するための準備を整えます。ここでは組織の中の個々人が課題の解決に向けて自律して動くことができる、探索のケイパビリティの獲得を目指します。
2-1. 探索のケイパビリティ
このフェイズでは、組織が大小の課題に向き合う中で、個々人が課題解決に向けての仮説を探索できるスキルを身につけます。
ゴールデンサークル理論に基づき、組織のありたい姿をはっきりと描くことで、これからの組織にとって望ましい人材像を定義するとともに、構想に不可欠な仮説検証、実現に不可欠なアジャイルについての基礎的なケイパビリティを獲得します。
3. ビジネスのトランスフォーメーション
いよいよDXを実際にビジネス活動に展開するための準備を整えます。ここでは組織の中の個々人が課題の解決に向けて自律して動くことができる、探索のケイパビリティの獲得を目指します。
3-1. 仮説検証とアジャイル開発
このフェイズでは、いよいよ実務レベルでの変革を実践に移していきます。探索のための仮説検証、そして事業開発を確実に進めていくためのアジャイルを実践していきます。
この仮説検証型アジャイル開発の実践を通して、
- 個々人がわからないことを自らわかるようにする
- 施策のターンアラウンドを短くする
- 不確実性を飼い慣らすすべを身につける
ことが目標となります。
3-2. 垂直上の分断を越境する
新たな体制での事業づくりが進んでくると組織の方針と現場の活動にズレ(垂直上の分断)が生じがちです。この分断を乗り越え、事業のさらなる発展を目指します。
事業をアーリーアダプターだけでなくマジョリティに届けるものに育てること、CoE(センター・オブ・エクセレンス)の活動を通じて、垂直上の分断の越境を図るのが、このフェイズの目的です。
4. 組織のトランスフォーメーション
DXの最終段階は、組織そのもののトランスフォーメーションを目指します。部署間や事業間での情報の隔たり(水平上の分断)を解消するとともに、時代に合わせて自らトランスフォーメーションしつづける組織の体制を確立します。
4-1. 水平上の分断を越境する
事業間・部署間の情報・意識の隔たり(水平上の分断)の解消は、柔軟に変わり続ける組織にとって必要不可欠です。
専門人材と経営人材・内部人材と外部人材が交わる場・アジャイルブリゲード・アジャイルディビジョンの設立を通して、部署や事業を超えた情報と課題の共有を目指すのがこのフェイズの目的です。
4-2. 組織のジャーニーの継続
仮説検証型アジャイル開発を一般業務にも適用(業務スクラム)し、アジャイルとコミュニティによって組織そのもののデジタル化をさらに進めます。
組織のあり方を4つの段階(ジャーニー)を終えいったんDXを成し遂げたとしても、組織が変化に適応していく限りジャーニーに終わりはありません。しかし自らの力でここまでの変革を成し遂げた組織にとって、もはや変化は恐るべきものではないでしょう。
デジタルトランスフォーメーション・ジャーニーの事例
著者・市谷が代表を務める株式会社レッドジャーニーによる、DXの実践事例を紹介しています。
DXの旅路は長く、険しい。だから。
長く険しい旅に踏み出すあなたへ。さあ、本書とともに、変革への第一歩を踏み出しましょう。『デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー』は、あなたの暗い旅路を照らすランタンとなり、先を見通すための地図になります。
「ジャーニー・トレンチ」のご案内
組織の変革という長い旅路に必要なのは、前線で頼れる「拠点(トレンチ)」の存在。「ジャーニー・トレンチ」は、著者・市谷による組織変革に挑む人たちのためのコミュニティです。オンラインでのコミュニティイベントを今後も開催予定ですので、ぜひメンバーとしてご参加ください(コミュニティへの参加は無料です)。
著者プロフィール
市谷 聡啓 / Toshihiro Ichitani
株式会社レッドジャーニー 代表 / 元政府CIO補佐官 / DevLOVE オーガナイザー
サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、ギルドワークスを立ち上げる。それぞれの局面から得られた実践知で、ソフトウェアの共創に辿り着くべく越境し続けている。
訳書に「リーン開発の現場」、おもな著書に「カイゼン・ジャーニー」「正しいものを正しくつくる」「チーム・ジャーニー」「いちばんやさしいアジャイル開発の教本」がある。
デジタルトランスフォーメーション・ジャーニー
好評発売中
市谷 聡啓 著 / 翔泳社 刊